2022.11.16
大問4題の出題で、試験時間は理科2科目で120分です。したがって、化学にかける時間は平均して60分と考えていいでしょう。解答は記述式です。
計算は、基本的に結果のみ記入すればよく、途中の経過を書くことは求められてはいないので、手早く計算していけば大丈夫です。
出題範囲は「化学基礎・化学」となっています。無機化学・有機化学・理論分野とわけてみると、無機化学分野は単独では出題されていません。理論分野との融合問題のかたちをとることが多いようです。
ですから、「理論分野と有機化学の計算」が、全体を通して一番のポイントになります。
「質の高い」問題が多く、“思考力を試す難度の高いもの”といえます。
かなり難しいと覚悟を決めて、腰を落ち着けて問題に取りかかる必要があります。
構成として、基本問題、入試レベルの標準問題、思考力や計算力が要求される高難度の応用問題が混在しています。解きながら、設問ごとの難易度の差が大きいことに戸惑うかもしれません。
次の点を指摘しておく必要があるでしょう。難しい一問にかかりきりになり、時間を使ってしまうよりは、問題を取捨選択して、一部の難度の高いものは飛ばし、まずは全体を見渡してから解いていくやり方もあると思います。(解けたとしても、時間をかけてしまっては、もう一つの理科の教科を解くのにかける時間が足りなくなってしまうので、合格点は狙えなくなります。)
問題には、いろいろな条件が与えられているので、まず整理してから設問内容を理解しましょう。それを踏まえて、
①どんな反応が起こるのか
②どんな現象が起こるのか
③反応前後の量関係はどうなるか
④その現象に関してどの公式が使えるのか
等をチェックしていくことになります。大体2つか、3つは組み合わされて問題が作成されているので非常に厄介です。そして、さらに面倒な計算が続きます。
このような総合的な問題とともに、教科書に出ているような内容を、きちんと理解できているかを問う設問もあります。例えば、沸点上昇の現象を蒸気圧降下から考えていく、そして沸点上昇の公式をつくるといった内容を、ひとつひとつ式で導き出していく導入形式の問題もあります。最後になぜ沸点上昇の公式では、「体積モル濃度」ではなく、「質量モル濃度」が使われるのかを考えさせています。
2022年には、「ピロリ菌」が出題されました。「身近な化学」といった設問です。
ピロリ菌はヒトの胃粘膜に生息する細菌です。不思議に思った人もいるでしょう。胃液には塩酸が含まれており、pHは1.5~2.0です。そのため、ふつう菌が侵入しても胃のところで殺菌されるはずです。ところが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持つために生存できます。
なぜか。この設問には「ウレアーゼは、尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する酵素で、ヒトには存在しない」の注釈がついています。発生したアンモニアが塩酸を中和してしまうのでピロリ菌は生存できるという理由がわかります。このような論述問題も出題されています。
つまり、基本的な知識から思考力を要する問題まで幅が広く、個々の力をきちんと把握できる設問になっていると言えるかもしれません。
比較的取り組みやすい印象を受けます。とはいっても、天然高分子や合成高分子が絡むような融合問題、反応機構に関する考察、他分野との融合問題、計算問題を含むことになると難度があがります。
基本から標準問題までで確実に解く力をつけ、応用問題に割く時間を十分に確保する。そのうえで完答を狙うのではなく、解答するのに時間がかかる問題は後に回して、8割ぐらいを目標にしてじっくり解いていくとよいのでお勧めします。過去問を解くときの参考にしてください。
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